下北沢の本多劇場へ、大学の同級生の宮藤官九郎くんの大人計画の舞台『母を逃がす』を、同じく同級生のサカイと一緒に見に行く。
劇中、宮藤くんと阿部サダヲさんとのやりとりに、サカイと大爆笑。舞台後、キャストの紹介タイムで、宮崎吐夢さんの「さそり座の女」へのツッコミ話が始まった。「『♪いいえ、私はさそり座の女〜』というからには、誰かが『てんびん座だっけ? あれ、しし座だっけ?』とかって聞いたんでしょうね」なんて話で、上手に書けないのが口惜しいけど、そのツッコミトークが最高におかしかった!
舞台後、楽屋へ。
宮藤くんが水木しげる役をしている映画『ゲゲゲの女房』の感想を伝えようと思い、「映画、面白かったよ〜」と言って、何がどう面白かったか説明しようと試みる。
「私は、テレビで『ゲゲゲ』にハマったクチで、向井くん演じるしげるにキャラ萌えしちゃってたんだけど」
この後の続きが大事なのに、サカイがいらぬチャチャを入れてくる。
「向井くん、イケメンだしね〜」
「イケメンだから好きなんじゃないんだってば! 他のドラマに出てる向井くんを見ても、『男前でお芝居が上手いなぁ』と思うだけで、しげるをやってる向井くん限定で、キャラ萌えしてたんだよ」
「あ、俺はテレビ版、全く見てないんですよ。テレビが始まる前に、映画も撮り切っちゃってたし」
「えっと、私が言いたかったのは、テレビ版のイメージを払拭して見れるかどうかが、あの映画にハマれるかが変わってくるよねって話。今考えてみると、テレビ版は、少女マンガっていうか、韓流っぽかったんだよね。だって、見合いでお嫁に行ったら、ダンナが向井理なんだよ!? でもって、視聴者からすれば、いつかは大人気漫画家になるのが分かってるんだよ!? 少女マンガ以外の何物でもないよねぇ」
「‥‥ああ、まぁ(笑)」
「でさ、映画見たら、若いときの水木しげるの写真と、パーマかけた宮藤くん、やせてて、飄々としてて、ソックリなんだよね。で、宮藤くん演じる水木しげるから、ダメダメオーラ出まくりで、映画見てるうちに、実際は、リアルはこっちだったんだろうなぁと思っちゃった。嫁に行ったら、貧乏で、片腕無くて、働きづめなのに金なくて雑草食べてて。あちゃ〜、ハズレくじ引いちゃったなぁ、でも、ここで生きていくしかない、この人とやっていくしかないって感じだったんだろうなぁと思って。だって、向井理じゃないんだもん!」
「ははは」
「でも、たまたま縁あって出会った人が、大切なかけがえのない家族になっていく感じが、振り幅が大きい分、ぐっときたよ」
私がツバを飛ばして熱く語ったのに、宮藤くんはへらへら笑いながら言う。
「なんか、向井くんをホメてた印象しか伝わらなかったですけど(苦笑)」
「いや、映画も別腹っていうか、テレビを忘れて見るとよかったよ! 宮藤くんの昭和なワビサビの笑顔カットは絶品だったし!」
ウーン、私は懸命にホメていたつもりだったのに、宮藤くんに「はいはい、どうもありがとうございます〜」と軽くいなされてしまう。感想言うのって、ホントむつかしいなぁ〜。ていうか、舞台の感想、一言も言えてないし!
サカイが娘に自慢したいというので、宮藤くんと一緒に写真を撮る。
サカイは、主婦のかたわら絵描きの仕事を始めていて、ブログを持っているのだけど、今サカイのブログを見たら、
「たかかん」というヘンなタイトルで、この写真がアップしてあった。なんじゃ? たかかんって? と一瞬思うが、たかのとクドカンをセットにしたらしい。なんじゃその、売れない漫才師みたいなコンビ名。でもって、コメントは「同級生です! ふけたね‥‥お互い‥‥ うそうそ」だけ。って、宮藤くんの名前もなく、それだけじゃ説明不足で、なんのことやらサッパリ分かんねーよっ!
サカイのブログに、“陽気な謎のヒゲ男”(ヒゲは役柄のため)としてアップされちゃった宮藤くん‥‥。サカイ〜、宮藤くんは有名人なんだから、もうちょっと気を遣えってば!(苦笑)。
↑お互いの写真を撮り合っている図。
サカイが、一緒に飲みながらもブログを更新し始めたので、「なんで今、あたしと久しぶりに飲んでんのに、ブログ書き出すんよ!?」と叱りつけるが、サカイは「こういうのは、生が大事なんよ〜」と、どこ吹く風。ったく、こいつはいつ会ってもマイペースで、飄々としてておかしいよ!